連続講座「解体新書」の記録

「並木・解体新書」 第1章 まちの中の自然環境

まちに自然を取り戻せ〜「エコアップ」はじめたまち〜

日時:1月20日(土)13:30〜16:00 場所:並木コミュニティハウス 講師:井手佳季子先生((株)ポリテック・エィディディ主任研究員) 受講者:17名



講義内容

写真提供:井手佳季子先生
小柴崎の写真 大道小学校 海の公園
小柴崎緑道の池大道小学校の池海の公園

エコアップの事例とエコアップの目的
  • ビオトープ/Bio(生き物)−tope(空間・場所)
    • 台所もビオトープだ
      • 人の管理がつくったビオトープ/家の中 生垣 庭園 農地 里山 溜池 水路 公園
      • 主に自然の力がつくるビオトープ/河川 特殊地形のビオトープ 湧水
  • エコアップの事例
    • 金沢区内の事例
      • 長浜公園淡水池/野鳥観察には適しているが、直接ふれあえる工夫が欲しい。
      • 小柴崎緑道の池/並木から柴町へ曲がる所にある公園で、ここにはヒキガエルがいる。産卵の時にしか水中に入らないので背後の藪が普段暮らす環境に適している。
      • 大道小学校しぜん広場/とんぼ池として有名。カワセミも来る。
      • 能見台東公園の池/能見台5丁目にある公園のなかの小さな池。稀少なヤマアカガエルが生息。3〜5cmの深さで卵を生む。水のある湿田が生息に適している。
      • 金沢自然公園 北谷口トンボ池/公園全体に鎌倉から移動したと思われるタイワンリスの増加。ここにはクレソン、セリ、エビモが植生。
      • 海の公園生物相保護」/山砂で作った人口海浜だけに生物相の観察が必要。
      • 富岡小学校/小さなビオトープ。水を引き込んでいる。
    • 集合団地の試み
      • 武蔵野緑町団地(三鷹駅の北1.5km)/古い団地の建て替えにあたって、成長している樹木を移植したため、新しい団地とは思えない豊かな緑の景観がある。しかし、移植には時間と費用がかかる。
  • エコアップの目的
    • こどもの暮らしにもっと自然の色とにおいを
      • 日本人の生き物体験は小学校まで/小学生の行動圏内(半径2km)にできるだけ多様な自然を残したい
      • 中学生、高校生のライフスタイルに自然とのふれあいを残したい。
        • スポーツとして:自転車、キャンプ等
        • 社会参加として:援農、草刈り、山林管理等
    • 都市生活者の毎日に自然の中の開放を
      • 毎日/買い物、通勤、通学途中で、昼休みに、横目・上目で「変わらない自然」を確認する。
      • 週末/自転車か交通機関でアクセスできる、一日過ごせるオープンスペースを
      • 連休・バカンス/なじみのキャビンやキャンプ地で本物の夕暮れ、真夜中、日の出にひたる。
  • エコアップのこれから
    • マスタープラン:横浜市エコアップマスタープラン(1998)/緑の7大拠点
      • 丘と海をつなぐ川の骨格を保全・回復する。
      • 斜面林と都市緑地で骨格を肉付けする。
        • 点と線と面
        • 面として残った自然は保存する。
        • 点をたくさんつくって、線や面にする。
    • ビオトープの目標/二つの表の相関関係を保つ。

目指す生き物を選ぶ
・昔いた生き物
・今の環境にふさわしい生き物
ふるさと生物種
保全用標種
環境用標種
生き物が必要とする環境を作る
・1日の暮らし
・1年目の暮らし
・一生の暮らし
生態図鑑





  • ネットワークの必要性=動物は動く
    • 一日のなかの移動:タヌキの場合/・ねぐら→餌場→水場→なわばりの見回り→ねぐら
    • 一生の間の移動:メダカの場合/・卵:水草→稚魚:浅瀬→成魚:浅瀬→産卵:水草
    • 生き物が絶滅しにくくするために
      • 地域の動植物個体群を観察すると、局所個体群の消滅と再移入を繰り返しながら維持されている。
    • 生息環境の危機=種の絶滅
      • 生息環境の分断→動物個体がライフサイクルを終えられない。
        局所個体群絶滅後、再移入できない。
      • 生息環境の小規模化→大規模な樹林や草地を必要とする種が生きられない。
      • 農的自然が維持できない→里山・溜池・湿田・畦等、及びこれらの連続性を必要とする種が生きられない。
    • エコロジカル・ネットワーク:積極果敢な次世代の環境保全
      • 目標とする動物が持続できる自然環境をネットワーク的に整備(保全回復創出)する。
        • 中核地区(コアエリア):多様な生物が内部だけで生息:繁殖できる。地域の生物種供給源として機能する。
        • 拠点地区(小拠点):比較的多様な生物が生息し、一部が繁殖する。種が絶滅すると中核地区からの分布拡大で回復する。
        • 回廊地区(コリドー、移動ルート):中核・拠点地区間を帯状・飛び石状に連鎖し、生物の安全な移動を確保する。
        • 緩衝地区(バッファー):上記の地区に対する外部からの影響(音、光、大気汚染、人間活動等)を緩和する。
    • 具体的にいえば下のようになる
      • 農地
        • 水田・あぜ道・稲架木等
        • 美しい農村景観の中心要素
      • 公園・学校
        • 市民参加によるみどりづくりと環境教育を実現できる
      • その他の公共施設
        • 市役所、浄水場等の造成緑地
        • まちのシンボルとして永年的に育てることができる
      • 道路・線路
        • 動物の移動に役立つ一方、移動を妨げることもある
      • 神社・寺
        • 樹林・古木
        • 文化区間、まつり空間として長期的な保全が可能
      • 屋敷・住宅地・市街地
        • 屋敷林と、造成緑地
        • 美しい農村と緑豊かな都市景観を形成する
      • 川・水路・調整池
        • 規模も流れも多様な水辺空間
        • ホタル、トンボの飛ぶ安らぎ空間を演出する
    • 上の7の空間を相互にリンクしてネットワークを形成する

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