まちづくり連続講座「並木なるほど 七変化」

第3回講座記録

並木に桜咲く頃
〜個性豊かな並木の樹木〜


並木コミュニティハウス&富岡並木調査隊共催


講師の池本三郎先生
  • 日時:平成14年4月6日(土)午後2時〜4時まで
  • 場所:並木コミュニティハウス研修室
  • 受講者:14名
  • 講師:横浜自然観察の森 池本園長

接ぎ木の説明をする池本講師

今回のお話は、外人墓地に眠るアメリカ人シドモアさんを巡るサクラのお話です。シドモアさんが魅了された日本のソメイヨシノがアメリカのポトマック川に移植され 日本よりも素晴らしい桜並木を作っています。そのソメイヨシノの枝を日本に持ち帰り接ぎ木により、シドモアさんの墓地の横に復元したのです。講師はこのサクラからクローンをつくり 横浜を中心に全国に拡げていくという、非常にロマンのあるお話でした。
シドモアさんは明治17年頃ジャーナリスト・紀行作家として各地を人力車でまわり、欧米社会に日本の文化や風俗を紹介しました。この事情が有隣堂出版の「日本人力車旅情」に書かれています。 有隣堂が出版したのは横浜の話題が多かったためでしょう。その中で彼女は向島の桜並木に魅了されたのです。時は過ぎて、明治37年アメリカに帰国していたシドモアさんはワシントン市のポトマック河畔にある 埋め立て地を公園にするという話を聞き、タフト大統領夫人と親しかった彼女は、ここに桜並木をつくりたいと提案したのです。この計画が認められ外務省を通じて東京市に打診がありました。当時の東京市長尾崎行雄は 日露戦争の時に日本を支援してくれたアメリカに恩義を感じていたため、話はまとまりました。
(写真はポトマック河に咲くサクラ)
明治42年12月桜の苗木2000本が送られましたが、この時は苗木に害虫が発見され、全て焼却処分されたのです。しかし、東京市は再度、苗木を寄贈します。今度は害虫駆除を行い万全の体制で3000本を寄贈したのです。 明治45年3月シドモアさんの見守る中、ワシントンで植樹式が行われました。その後大正末期に日本の移民を認めない法律ができたことに抗議してシドモアさんはスイスに移住しまもなく亡くなりました。日本政府は彼女の死を悼み、家族の眠る横浜外人墓地に埋葬したのです。
平成3年シドモアさんをしのぶ人々が外人墓地に集まり、ポトマック河のサクラをシドモアさんの墓の傍らに植樹しました。
平成13年3月からシドモアザクラのクローンをつくり横浜市に移植を拡大していく運動を進めています。ボランティアの人達と本牧小学校の生徒達が総合学習として取り組みました。最初は一部の生徒でしたが、その後6年生90名が参加し、3月8日に本牧山頂公園に植樹をしました。 子供達はこの内容を紙芝居して、みんなに説明します。

(写真は小学生と彼らがつくったシドモアザクラ)
この活動の中心はシドモア桜の会なのですが、緑政局はこの組織に後援はできないということで、結局協力ということで落ち着きました。また、山頂公園に植樹をすることについて、公園事務所が難色を示しましたが、地元の議員に理解者がいて、例え苗木が枯れてもそれは教育の一つということで公園側の了承を得たようです。
植樹されたサクラにはもう今年花が何本がついたようです。現在作成したシドモアザクラ100本は長野県池田市に50本と後は横浜市の公園に植樹されています。この近所では金沢シーサイドラインの本社の正面に一本あるそうです。

この後、先生がポトマック河のサクラを撮影したものと、シドモアザクラをつくる子供達のスライドの撮影がありました。
この中で感じたのはワシントンの人達はサクラを愛し、新しい品種をつくりながら開花時期を揃えたり、古いサクラと新しいサクラを絶えず世代を更新しながら桜並木を維持していることです。この点は日本でも学ぶ事が多いと池本先生のお話が印象的でした。例えば大岡川は均一の桜並木になっていますが、老化は同じ時期にきますので、又新しい木を植え育つのを待つことになります。病気の木などを排除しながら絶えず世代交代を繰り返す方が変化もあって面白いと思います。

接ぎ木の方法

先生から接ぎ木の方法について説明をいただきました。台木はマザクラというヤマザクラの種類が良いそうです。自分では3,4mの中木にしかなりませんが、根付きが良く、接ぎ木をするとその木に合わせて大木になるそうです。
接ぎ木の方法はイラストにあるとおりですが、接ぎ木を中心に持ってこないのが一番重要なことです。台木と接ぎ木の形成層が一致することがポイントです。このようにサクラのクローンをつくることは簡単なので、並木地区ではどんなサクラを植樹するのがよいのか、いろいろな銘木から選んでみることが出来るそうです。

今回のお話はとても感動的でした。日本とアメリカをサクラで繋いだシドモアさんやそのサクラをさらに拡げていこうという運動には大きなロマンがあります。
今回準備不足で受講者が少なかったのは残念ですが、講座としては大変素晴らしいものだったと、感じました。


目次へ戻る


[並木ねっとホーム][i-mode][リンク集][掲示板][戻る]
copyright 2001 namiki net supportgroup
mailto:admin@namiki.ne.jp