連続講座「解体新書」の記録

「並木・解体新書」 第1章 まちの中の自然環境

まちに野鳥がやってきた〜「エコアップ」でできた野鳥の楽園〜

日時:2月10日(土)9:00〜11:30 場所:長浜野鳥観察の池 講師:金沢野鳥クラブ 受講者:11名

金沢野鳥クラブの説明:講師/権守(ごんのかみ)氏
講師から当日のメモが届きましたので回答を差し替えます。

カモの行動(つがい形成と求愛ディスプレイ)

越冬地のカモの生活

〇どこから来たのですか?
 ここへ来るカモは主に北半球のシベリヤ東北部の寒帯から亜寒帯にかけての地域で繁殖しています。カモ類は世界に120種いるといわれ、日本に30種が渡ってきます。長浜の池に14種(鹿島さんの記録)が記録されています。多くの同じ個体がこの池に毎年来ていると思います。

〇冬の間、何をしているのですか?
 繁殖地の冬は雪と氷にとざされてしまい、食物が得られなくなり生活ができなくなるため、暖かい日本に渡ってきます。
 越冬地では食物を得て生活するのですが、カモにとって大事な行動(行為)があります。それはオスとメスがつがいになることです。越冬地ではつがいの相手を決める重要なことが行われます。
 つがいになって、3月中旬頃、連れ立ってシベリヤ方面へ帰ります。交尾は繁殖地で行います。この池でのんびり休息しているように見えますが、いまつがい形成という厳しいドラマが展開されているのです。

カモのつがい形成

〇どんな夫婦(配偶)関係ですか?
 野鳥のつがいのパターンには一夫一妻(90%)・一夫多妻(ミソササイ・ウグイス・オオヨシキリ)・一妻多夫(タマシギ・ヒレアシシギ) ・乱婚(キジ)があります。カモ類は一夫一妻です。それもつがい期間が非常に短く、1シ−ズン限りです。交尾して、卵を産んでメスが抱卵し始めたら、オスはメスから離れるそうです。そこでつがいは解消です。たったの4ケ月ぐらいです。
 その理由は繁殖地でワシタカやキツネに襲われて死んだり、病気や怪我で相手の一方が死ぬとつがいを続けることは困難になります。つがいを持続できないと種を保存できなくなります。つまり子孫を残すことができないので1シ−ズンで終わり、次のシ−ズンに繁殖のために、また、新たな相手を探します。これは子孫を確実に残すためにカモが選んだ戦略と考えてよいでしょう。

多様なディスプレイ

〇オスはどんな行動(プロポーズ)をするのですか?
 野鳥のほとんどはつがい相手を選ぶ権利(習性)はメスにあります。よってオスはメスに気に入られるように必死にメスにアタックします。これがディスプレイ(プロポーズ)です。野鳥のディスプレイはいろいろあります。メスの前でダンスをしたり飾り羽をたてるものがいます。
 ここにくるカモのディスプレイは1月から2月にかけて行われます。その形は生きるための基本動作が誇張されています。オナガカモは動作がはっきりしているので観察しやすいと思います。でもほんの一瞬ですので時間をかけて観察する必要があります。
 この池で今日8時過ぎにオナガカモで見られました。朝早い時間に見られるようです。オスの7、8羽が1羽のメスを追いかけます。囲い込みと言います。元上野動物公園の福田氏がディスプレイの形に名前をつけています。その時、オスはそり縮みやあごを上げたり、普段と違った行動をします。水面を数羽が早く泳いでいる時は注意して観察して下さい。ディスプレイが見られるかもしれません。
 メスがオスを選んでペアーになると、群れから少し離れて2羽で静かに行動しています。少し離れている2羽はつがいになったと思ってよいでしょう。どんなカモがどんなディスプレイをするのかを観察するのも楽しいでしょう。

オスの美しさ

〇なぜオスは目立つのですか?
 越冬地で何種が一緒に生活しています。また、渡りをするため種が混ざらないために、つまり、自分の種を見分けるためだと言われています。
 また、オスの羽色が立つのは、メスが自分と同じ種を間違いなく選ぶためだといわれています。
 オスはメスに選ばれるために長い時間をかけて、進化してきて特有の目立つ羽色になりました。メスがよりきれいなオスを選び、その子孫がまたよりきれいなオスを選ぶことによって、オスが美しく目立つようになったのです。
 ただし、繁殖地に戻ると、オスは目立つ色だと天敵に狙われやすいので、メスと同じ地味な羽色(エクリプス)になります。秋日本に渡ってくる時はその色ですが、段々とつがい形成のために、もう一度換羽して、 美しい羽色になっていきます。カモ類は毎年この生活を繰り返しています。


それぞれのカモの行動を観察してみよう。


当日観察できたカモを紹介します。写真がないため次の本のイラストから引用させていただきました。
「フィールドガイド日本の野鳥 野鳥ブックス」高野伸二著/日本野鳥の会


コガモは名前の通り一番小さなカモです。オスの目から首にいたる緑が鮮やかです。それに較べてメスは全く地味な存在です。このカモは比較的早く飛来し一番遅くまで残ります。この付近ではここでしかみることができません。

ヒドリガモのオスは頭のオレンジ色が印象的です。メスは目立ちませんが目の後ろが少し濃くなっているのと、他のカモに較べて比較的丸みを帯びているのが特徴です。このカモはどこでも見ることができます。観察の池ではよく陸に上り草を食べています。

オナガガモは名前の通り尾が長いのと首が長いのが特徴です。メスも首の長いスマートさで他と区別がつきます。この鳥は人を怖れず船だまりではエサを貰うために陸にいる人の足下までやってきます。

ハシビロガモの特徴はシャベルのような嘴です。この大きな嘴でエサをすすいでいます。また、オスは首の緑とお腹の白地にオレンジのカラーですぐに識別できます。メスはやはり大きな嘴を目標にしましょう。この鳥もここでしかでしかみることができません。

オカヨシガモは比較的珍しいカモとされていますが、この池や船だまりでは普通にみることができます。全体がグレーな地味な姿ですが、尾の方が黒くなかなかシックな鳥です。メスはやはり地味で区別しにくいのですが、オスといることが多いのと、黄色みを帯びた嘴に注目しましょう。



カルガモはこの池でも船だまりでも何時でも見ることのできる鳥です。春には可愛いコガモをみることができるでしょう。このカモは雌雄の区別がつきません。

ホシハジロです。今までのカモは水の中を潜ることができませんので、水の中に首を入れてエサをとるか、水上のエサをすくって採餌しますが、この行のカモは水中に潜ることができます。オスは茶色系のツートンカラーですが、メスは地味なグレーです。

キンクロハジロは黒いカモです。目が金色に光っているのが特徴です。オスはお腹が白で、黒白のコントラストが鮮やかで、頭の後ろの飾りが愛嬌です。メスはオスの白い部分がダークブラウンのため、殆ど黒くみえます。船だまりに多く見ることができます。

スズガモも黒いカモで、キンクロとの違いは、背中が白ければスズガモです。頭の飾りもありません。メスは嘴の付け根が白く見えるのがスズガモです。

他のカモとしては比較的良く見ることが出来るのはマガモです。希な種類として今年飛来したトモエガモがあり、不定期に飛来するオシドリ、アメリカヒドリガモ等があります。



この日見た鳥の全て
カモは上の9種類。クイナ、オオバン、カイツブリ、カワウ、ツグミ、アカハラ、ジョウビタキ、アオジ、ホオジロ、ウグイス、カワラヒワ、コサギ、モズ、カワセミ、ハクセキレイ、シジュウカラ、メジロ、キジバト、ヒヨドリ、ムクドリ、スズメ、トビ、ハシブトガラス,

金沢野鳥クラブの皆様ご協力ありがとうございました。 金沢区の野鳥については次のページをご覧下さい。
横浜市金沢区四季の野鳥


[並木ねっとホーム][i-mode][リンク集][掲示板][戻る]
copyright 2001 namiki net supportgroup
mailto:admin@namiki.ne.jp